魅力
国際がん研究機関が発表
コーヒーに発がん性の証拠ゼロ!

国際がん研究機関(IARC)がコーヒーについて
「発がん性を示す決定的な証拠はない」とし、
むしろ肝臓や子宮内膜がんのリスクが
低下すると報告しました。


世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、人と動物に対する発がん性リスクについて調べた1,000以上の疫学研究や動物実験を徹底的に見直した結果、コーヒーの飲用について、「発がん性の可能性を示す決定的な証拠はない」と発表しました。
IARCは人に対する発がんリスクについて、様々な物質や要因、環境などを5段錯に評価・分類してきました。コーヒーは1991年に「発がん性の可能性がある(グループ2B)」と分類され、以来、長年にわたって「体に悪い」というイメージで見られるようになっていました。今回の発表では、この分類についても「発がん性について分類できない(グループ3)」に見直されました。それだけではありません、多くの疫学研究によると、コーヒー飲用は膵臓、乳房、前立腺のがんに対して発がん性の影饗はなく、むしろ肝臓や子宮内膜がんのリスクが低下していると報告しています。他の20以上のがんについても、発がん性を示す確かな証拠はありませんでした。またIARCは、コーヒーやお茶などあらゆる飲料について、非常に熱い飲み物は「食道がんを引き起こす可能性がある」としてグループ2Bに分類しました。IARCは65°C以上という温度を具体的に示していますが、多くの国でコーヒーやお茶は65°C以下で飲用されているとも述べています。もし、コーヒーを「熱いな」と感じたら、少し冷まして飲むようにしたほうがよさそうですね。



国際がん研究機関による発がん性の分類


IARCは、人に対する発がん性について様々な物質や要因を評価し、5段諧に分類しています。IARCによる発がん性の分類は、発がん性があるかどうかの「根拠の強さ」を示すもので、物質の発がん性の強さや暴露量に基づ<リスクの大きさを示すものではありません。ちなみに唯一グループ4に分類されたカプロラクタムは衣料用繊維の原材料として使われている化合物です。

グループ1:人に対する発がん性がある(120種類)
(例)アルコール飲料、喫煙、ベンゼン、アフラトキシン etc
・人への発がん性について十分な証拠がある場合
グループ2A:人に対する発がん性がおそらくある(81種類)
(例)アクリルアミド、ジクロロメタン、65℃以上の熱い飲み物 etc
・人への発がん性について限られた証拠しかないが、実験動物の発がん性については十分な証拠がある場合
グループ2B:人に対して発がん性の可能性がある(299種類)*
(例)アセトアルデヒト、鉛、ガソリン、漬けもの etc

・人への発がん性について限られた証拠はあるが、実験動物では十分な証拠がない場合
・人への発がん性について不十分な証拠しかない(あるいは証拠はない)が、実験動物では十分な発がん性の証拠がある場合

グループ3:人に対する発がん性について分類できない(502種類)
(例)コレステロール、コーヒー、茶、低周波電場 etc
・人への発がん性について不十分な証拠しかなく、実験動物についても不十分または限られた証拠しかない場合
・他のグループに分類できない場合
グループ4:人に対する発がん性がない(1種類)
(例)カプロラクタム
・人への発がん性のないことを示す証拠があり、かつ実験動物についても同様な証拠がある場合
2017年10月時点


アレルギー疾患を緩和するコーヒーの効果


つらい鼻水、目や皮膚のかゆみなど、アレルギー疾患でお悩みの人に朗報かもしれません。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の杉本幸雄先生が発表した「コーヒー成分の抗アレルギー作用に関する基礎的研究」によると、コーヒーの継続的な摂取によって、アレルギ一性疾患がやわらぐ可能性があると分かりました。この研究ではコーヒーに含まれるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」に着目して、マウス実験を行いました。
マウスには事前に卵によるアレルギー反応を人工的に誘発させ、次にクロロゲン酸を混ぜた水溶液(0.03%、0.1%、0.3%)を継続的に与えて、アレルギー症状をやわらげる効果があるかを観察しました。14日目以降はアレルギーの抗原溶液を鼻の中に投与して、くしゃみ反応と鼻掻き行動の回数を測定したところ、その回数が抑えられるという結果が出ました。アレルギー性皮膚疾患のマウスによる同様の実験でも、引っ掻き行動の回数は減りましたが、統計学的な有意差はありませんでした。これらの実験により、コーヒーの継続的な摂取によって、アレルギー性疾患を緩和する可能性があるという結果が示唆されました。毎朝のコーヒーが、花粉症をやわらげて、すこやかな一日を与えてくれるかもしれませんね。

コーヒーの予防的効果



コーヒー習慣で脳腫瘍のリスクが低下


国立がん研究センターでは、日本各地に住む40〜69歳の男女9万人を約20年間にわたって追跡調査したコホート研究にもとづいて、コーヒーの摂取と脳腫瘍のリスクに関連があるかどうかを調ベました。コーヒーを飲む頻度が週4日以下、1日1〜2杯以上、1日3杯以上、の3つのグループに分けて脳腫瘍のリスクを比較すると、1日3杯以上飲むグループではリスクの低下がみられました。治療が難しい悪性脳腫瘍のひとつ、神経膠腫(グリオーマ)についても、リスクの低下傾向が見られましたが、症例数が少なく、統計学的な有意差はみられませんでした。緑茶と脳腫瘍との関連もあわせて調べましたが、明らかな差は見られませんでした。海外の複数の疫学研究をまとめた欧米の報告では「コーヒーは脳腫瘍に対する予防的作用はない」とされており、まだまだ研究の蓄積は必要ですが、コーヒーに含まれるクロロゲン酸やトリゴネリンなどの物質が脳腫瘍の発がん抑制に関与している可能性があると見られています。

脳腫瘍リスク




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