☆アイルランド☆
  〜漁師が身体を温めるために飲み始めた〜
 砂糖と温めたアイリッシュ・ウィスキーの入ったカップに、深煎りのコーヒーを注ぎホイップクリームを浮かべたアイリッシュ・コーヒー。日本でも定番のアレンジ・コーヒーとなっています。アイルランドの漁師が身体を温めるために飲んだのが始まりです。このようにコーヒーにアルコールを入れて飲むのは各地で行われています。フランス、ノルマンディー地方では、リンゴを原料とするブランデー、カルバドスがお供。スペインでもブランデー入りのコーヒーをよく飲みますが、アニゼットというリキュールも使用します。
☆アメリカ☆
   〜アメリカン・コーヒーの始まりは?〜
 アメリカン・コーヒーとは浅煎りの豆から抽出した薄目のコーヒーのことですが、この起源は1773年の「ボストン茶会事件」にさかのぼるのだといいます。この事件はアメリカ独立戦争の直接的引き金となり、イギリス本国政府の茶条例に反対するボストン市民がイギリス船を襲撃し、積み荷の紅茶を海中に捨てたものです。もともとヨーロッパ・スタイルの濃いコーヒーを飲んでいましたが、これ以降、紅茶と同じ濃度にしてコーヒーを紅茶の代わりに飲んだのが、今日のアメリカン・コーヒーになったのだそうです。
☆キューバ☆
 〜銘品「クリスタル・マウンテン」を産する〜
 キューバは砂糖、葉巻、ラム酒の生産国として知られますが、ジャマイカのブルー・マウンテンと並び称される「クリスタル・マウンテン」を産する地でもあります。クリスタル・マウンテンはキューバ島の中央部にある海抜850〜1200mのエスカンブライ山脈地帯、昼夜の温度差が10℃以上で、適度な降水量に恵まれたコーヒー栽培最適の地で育まれます。エスカンブライ山脈に朝霧がかかり、その朝霧が太陽に反射して水晶のように輝くことからクリスタル・マウンテンの名が付されています。キューバ国内のコーヒー生産量のわずか4%で、ほとんどは日本はじめ海外へ輸出され、国内では消費されません。とはいえ、キューバ人も大のコーヒー好き。エスプレッソで客人をもてなし、街中ではコーヒーをポットに入れた売り子にも出会います。そして観光客に人気なのは、コロニアル風の旧市街のホテルのカフェで、サルサなどの生演奏を聴きながらのコーヒーブレイクです。
☆イエメン☆
   〜一言で「モカ」といっても……〜
 「モカ」の銘柄名は日本においてもっともポピュラーなのではないでしょうか。モカとはイエメンの港町の名前で、ここから世界に向けてコーヒーが輸出されていったのです。しかし一言でモカといってもさまざまな銘柄があるのです。モカにはイエメン産とエチオピア産があります。ともに最初は出荷港がモカ港だったので、モカの名が付けられているのです。イエメン産「モカ・マタリ」とエチオピア産「モカ・ハラー」とでは味も価格も違います。最高級銘柄の一つに数えられるモカ・マタリの方が価格は高く、モカ・ハラーより豊かな風味を持っているとされます。
☆オランダ☆

  〜水出しの方法を考案したその理由〜
 水出しコーヒーのことを「ダッチ・コーヒー」と呼びます。これは旧オランダ領東インド(現在のインドネシア)でオランダ人が考案したことから、このように呼ばれています。コーヒーを水で出す方法は、お湯を使った抽出法ではコーヒー豆の欠点が目立ってしまうケースがあるために考え出されました。インドネシアがオランダの植民地であった当時、ロブスタ種(アラビカ種と比べ香り・味ともに劣る。インスタントコーヒーや缶コーヒーなどに使用されることが多い)が栽培されていました。このロブスタ種のコーヒーを通常の方法でドリップすると個性が強すぎ、強烈な風味であったのです。

参考d 「珈琲あらかると」
全国喫茶飲食生活衛生同業組合連合会 (財)全国生活衛生営業指導センター