おすすめスポット

珈琲の香りは文明開化とともに… 
喫茶店のはじまりは明治19年、日本橋小網町にコーヒーの店「洗愁亭」が開店からという説があります。洋食店が一般的になるのもこの頃から。中華料理店も普及したそうです。
面白いのは、明治22年に東京銀座の氷砂糖屋(福田助次郎)という人が、コーヒー入りの角砂糖を売り出したそうです。お湯や温めた牛乳に入れて飲んだそうです。一体、どんな味がしたのでしょうか?きっとハイカラな飲み物だったのでしょうね。
明治23年に開かれた「第三回内国勧業博覧会」の会場内にコーヒー店が設けられ、大変な好評を博したとか。この人気がきっかけで東京の各地にはコーヒー店が次々とオープンしたそうです。
日本で初めての西洋風のカフェが登場したのは大正九年、銀座の「カフェ・ユーロップ」。この時に招かれたドイツ人の製菓技師カール・ユーハイム氏は、後に日本に永住し、神戸に洋菓子店「ユーハイム」を開きました。
関東大震災後、東京では支那そば屋、洋食店、喫茶店が流行し、昔ながらの蕎麦屋、お汁粉屋が少なくなっていったそうです。デパートの食堂ではホットケーキが登場しています。
明治の終わり頃、カフェーの始まりといわれる「カフェー・プランタン」が東京・京橋に開店し、青年文士や画家たちが集まる場所になりました。
コーヒー一杯でさぞかし熱い議論が交わされたことでしょう。
日本で初めてコーヒーを売り出したのは、明治8年。東京の泉新兵衛さんという人だったそうです。緑茶、紅茶、コーヒー、それぞれの個性と味わいを楽しみながら、日本人は少しずつ生活の中に取り入れていきます。
ブラジル政府とコーヒー輸入の契約が結ばれたのは、明治41年。日本の生活文化が洋風化とともにコーヒーを飲む機会も増えてきたのでしょう。大正8年には、ブラジル政府が大々的にブラジルコーヒーをPR、日本のコーヒー界は戦前の黄金時代を迎えます。
もちろん戦時中から戦後にかけて、あらゆる物資が不足した時代には、食べることに精一杯でコーヒーの香りを楽しむゆとりもありませんでしたから、一日に何度でも「お茶の時間」を楽しめる私たちはしあわせですね。
ちなみに、コーヒーの輸入がストップした第二次世界大戦中、日本ではコーヒー豆の代用品として「さつまいも、とうもろこし、百合根、大豆、ヒエ、チューリップ、ハブ茶、うるしの実」などの13品目が法律で指定されていたそうです。

歴史読本「珈琲」香り高い“名セリフ”
珈琲をこよなく愛した人たち
●ジャン・ジャック・ルソー <フランス/思想家・文学者>

ああ、これでコーヒーカップを手にすることもできなくなった…。(辞世の一言)
●バルザック <フランス/1799-1850年/小説家>
コーヒーが腹中に入ると、
即座に活気が出てくる。
ちょうど戦場における軍隊のように、
生き生きとしたアイデアが生まれ、
記憶の中に眠っていたものが、
つぎからつぎへとその姿をあらわしてくる。
●ヴォルテール<フランス/1694-1778年/小説家・思想家

18世紀を代表する啓蒙思想家のヴォルテールは大のコーヒー党としても知られています。
百科全書派の一人として鋭い論説で有名な彼は、コーヒーを一日たりとも欠かしたことはなく、84歳でこの世を去るまで何と毎日50杯を飲み続けたというエピソードもあります。あまりの量に飲み過ぎを心配した周囲の人たちに、ヴォルテールはこう答えたそうです。「たしかにそう思う…しかし、私は85年間コーヒーを飲み続けているが、まだ生きているからね」と。
さすがにコーヒー好きだけあって、“違いがわかる”渋いお言葉です。脳や筋肉の働きを活性化するコーヒーの成分「カフェイン」のパワーを、あたかも衆知していたかのような味わい深い一言ですね。
●吉井 勇<日本/1886-1960年/歌人・劇作家・小説家>
珈琲の 香にむせびたる 
夕より 夢見るひとと なりにけらしな
珈琲の 濃きむらさきの 一椀を
啜りてわれら 静こころなし
歌集「酒ほがい」より 

もっと知りたい“お国柄的珈琲”
 
☆アイルランド☆
~漁師が身体を温めるために飲み始めた~
 砂糖と温めたアイリッシュ・ウィスキーの入ったカップに、深煎りのコーヒーを注ぎホイップクリームを浮かべたアイリッシュ・コーヒー。日本でも定番のアレンジ・コーヒーとなっています。アイルランドの漁師が身体を温めるために飲んだのが始まりです。このようにコーヒーにアルコールを入れて飲むのは各地で行われています。フランス、ノルマンディー地方では、リンゴを原料とするブランデー、カルバドスがお供。スペインでもブランデー入りのコーヒーをよく飲みますが、アニゼットというリキュールも使用します。
☆アメリカ☆
~アメリカン・コーヒーの始まりは?~
 アメリカン・コーヒーとは浅煎りの豆から抽出した薄目のコーヒーのことですが、この起源は1773年の「ボストン茶会事件」にさかのぼるのだといいます。この事件はアメリカ独立戦争の直接的引き金となり、イギリス本国政府の茶条例に反対するボストン市民がイギリス船を襲撃し、積み荷の紅茶を海中に捨てたものです。もともとヨーロッパ・スタイルの濃いコーヒーを飲んでいましたが、これ以降、紅茶と同じ濃度にしてコーヒーを紅茶の代わりに飲んだのが、今日のアメリカン・コーヒーになったのだそうです。
☆キューバ☆
~銘品「クリスタル・マウンテン」を産する~
 キューバは砂糖、葉巻、ラム酒の生産国として知られますが、ジャマイカのブルー・マウンテンと並び称される「クリスタル・マウンテン」を産する地でもあります。クリスタル・マウンテンはキューバ島の中央部にある海抜850~1200mのエスカンブライ山脈地帯、昼夜の温度差が10℃以上で、適度な降水量に恵まれたコーヒー栽培最適の地で育まれます。エスカンブライ山脈に朝霧がかかり、その朝霧が太陽に反射して水晶のように輝くことからクリスタル・マウンテンの名が付されています。キューバ国内のコーヒー生産量のわずか4%で、ほとんどは日本はじめ海外へ輸出され、国内では消費されません。とはいえ、キューバ人も大のコーヒー好き。エスプレッソで客人をもてなし、街中ではコーヒーをポットに入れた売り子にも出会います。そして観光客に人気なのは、コロニアル風の旧市街のホテルのカフェで、サルサなどの生演奏を聴きながらのコーヒーブレイクです。
☆イエメン☆
~一言で「モカ」といっても……
 「モカ」の銘柄名は日本においてもっともポピュラーなのではないでしょうか。モカとはイエメンの港町の名前で、ここから世界に向けてコーヒーが輸出されていったのです。しかし一言でモカといってもさまざまな銘柄があるのです。モカにはイエメン産とエチオピア産があります。ともに最初は出荷港がモカ港だったので、モカの名が付けられているのです。イエメン産「モカ・マタリ」とエチオピア産「モカ・ハラー」とでは味も価格も違います。最高級銘柄の一つに数えられるモカ・マタリの方が価格は高く、モカ・ハラーより豊かな風味を持っているとされます。
☆オランダ☆
~水出しの方法を考案したその理由
 水出しコーヒーのことを「ダッチ・コーヒー」と呼びます。これは旧オランダ領東インド(現在のインドネシア)でオランダ人が考案したことから、このように呼ばれています。コーヒーを水で出す方法は、お湯を使った抽出法ではコーヒー豆の欠点が目立ってしまうケースがあるために考え出されました。インドネシアがオランダの植民地であった当時、ロブスタ種(アラビカ種と比べ香り・味ともに劣る。インスタントコーヒーや缶コーヒーなどに使用されることが多い)が栽培されていました。このロブスタ種のコーヒーを通常の方法でドリップすると個性が強すぎ、強烈な風味であったのです。

参考「珈琲あらかると」
全国喫茶飲食生活衛生同業組合連合会 (財)全国生活衛生営業指導センター

日常生活に役立つコーヒー健康術


 アジアで西洋医学が取り入れられるようになったのは、18~19世紀以降のことです。それまでは生体の調和を大切にした中国医学やインド医学、アラビア医学などが使われていました。これらの伝統医学では「食べ物もまた薬である」という考え方があり、コーヒーの原産地であるアフリカ北部やアラビアでは古くから薬として使われていました。
オランダからコーヒーが伝来した日本でも薬の一つとしてとらえられたいたらしく、江戸時代の後期に書かれた文献の中には、コーヒーの「健胃作用」や「利尿作用」「覚醒作用」を漢方的表現で紹介した文章が残されています。
 現代ではコーヒーは嗜好品として世界各国で広く親しまれていますが、その働きが次々と解明されるにつれて、身近で手軽な日常飲料として、カラダにもいい飲み物であることが知られるようになってきました。人間が永い歴史の中で食べたり飲んだりしてきたものには、どこか身体にもいい健康づくりに役立つ有効成分が含まれているのですね。 
「薬食同源」「医食同源」という言葉があるように、薬や医術と食は同じ源にあるという意味の東洋的思想ですが、コーヒーもまた日常的な飲み物であり、薬としての意味をもっているといえるのでしょう。
 コーヒーのもつすばらしい健康効果の科学的な証明はまだスタートしたばかり。これからの可能性を秘めた美味しい一杯で、心とからだをリフレッシュ!今日も楽しいコーヒータイムをどうぞお過ごしください。

参考「カラダが元気になるコーヒーの飲み方」社団法人全日本コーヒー協会

コーヒーはあなたの健康パートナー 
コーヒーがガンを予防する!
 70年代初頭、コーヒーがガンの原因になるという説が唱えられましたが、今ではそのほとんどが覆されました。現在ではさまざまな研究機関等によってコーヒーに含まれる成分が明らかになり、それらがもたらす効果に関心が集まっています。例えばコーヒーの成分、クロロゲン酸は発ガン抑制作用があると報告されています。
 ク□ロゲン酸と発ガン物質をネズミに与え、その影響を比較する実験が行われました。飼料に発ガン性物質を混ぜて与えたネズミには40%の割合でガンが発生。発ガン性物質とともにクロロゲン酸を混ぜた飼料を与えたネズミにはガンが発生しなかったのです(岐阜大学医学部の森秀樹教授による研究から)。
 また、コーヒーを1日3杯以上飲むと、直腸ガンのリスクが半減するといった報告もなされています(愛知県がんセンター研究所の田島和雄疫学・予防部長による研究から)。

痴呆の予防・改善の可能性が…
 コーヒー豆に含まれる成分の一つにトリゴネリンがあります。このトリゴネリンには、培養実験やマウスを使った実験の段階ですが、人の脳の神経細胞に新たなネットワークを作り出す可能性があることが報告されています(富山医科薬科大学和漢薬研究所の服部征雄教授による研究から)。高齢化社会では、脳神経の変性・脱落が原因でおこる痴呆は深刻な問題。そもそも一度失われた脳の神経細胞の再生は不可能ですが、失われた神経細胞の代わりに、トリゴネリンの働きによって新たな神経ネットワークが作り出されるとなれば、痴呆の予防・改善が可能になるのです。ひいてはコーヒーを飲むことで痴呆の予防・改善の可能性も浮上。研究への期待とともにコーヒーの秘めた可能性には驚くばかりです。
リラックス&リフレッシュ効果!
 コーヒーの香りがもたらす効果には2面性があリます。リラックス効果と同時に脳の働きを活性化するのです。
 挽いたコーヒー豆、レモン油、蒸留水の3種類を用意し、それぞれの香りを順番に嗅ぎ、脳のアルファ波(リラックス状態であるほど多く出現〕を測定。コーヒーの香りを嗅いだ時に、他の2つと比べ突出してアルファ波が現れました。ついで脳の電位を測定するという方法で、脳の活性化の度合いを調べました。脳を使う作業を行っている時にコーヒーの香りを嗅ぐと、脳の電位はより高くなり、脳が活性化されることがわかりました。
 なお、コーヒーの香りはローストの仕方により変わってきますが、リラックスしたい時には深煎り、仕事などの能率アップには中煎りが向いていることもわかっています(杏林大学医学部古賀良彦教授の研究結果から)。

参考「珈琲あらかると」
    全国喫茶飲食生活衛生同業組合連合会 (財)全国生活衛生営業指導センター

漢方流「コーヒー」再発見!!
=NHK総合テレビ「ためしてガッテン」より= 1995年11月放映

目覚まし効果をアップする 
<コーヒーの飲み方>
ワンポイント・アドバイス
疲れている時ほどスッキリする
勉強中など下がった能力をアップ
集中力をアップさせる効果あり
人気テレビ番組「ためしてガッテン」の実験室が注目したのは、昔からよく知られているコーヒーの目覚まし効果。コーヒーに含まれる成分のカフェインが眠気防止に役立つことは一般的にご存じの方は多いのですが、飲むタイミングや状況によって効果に違いが現れるのか、「大変疲れている人」「やや疲れた人」で実験した結果があります。協力したのは、約500�を走行したばかりの長距離トラックの運転手さん、約300�の中距離トラックの運転手さん、約100�の近距離トラックの運転手さん。荷物を運び終えてすぐに簡単な足し算の計算をしてもらい、成績をチェック。コーヒーで一服した後、ふたたび計算をしてもらいました。コーヒーを飲む前と飲んだ後で、どのくらい成績が変わるのかをそれぞれの条件でくらべてみると……結果は、すべての運転手さんの正解率がアップ。特に長距離の運転手さんほどコーヒーの効果が著しくあらわれる傾向が見られました。つまり、疲れている人ほど、コーヒーを飲めば集中力が回復することがわかりました。


リラックス効果を高める
<コーヒーの飲み方>
ワンポイント・アドバイス
●リラックスするには一杯のコーヒーがおすすめ
●イライラしている時もコーヒーが気分を落ち着かせてくれる
コーヒーには眠たい時に頭がスッキリの覚醒作用と同時に、気持を静めリラックスさせる働きも持っています。まるで対称的な効果ですが、「ためしてガッテン」実験室では興奮のピーク時にコーヒーを飲むとどんな変化があらわれるのか科学的にチェックしています。実験の協力者は、熱狂的な阪神タイガース応援団のメンバー。阪神優勝の試合の様子をビデオで球場のスクリーン上に再生しながら実際の試合時さながらに応援をしてもらうというもの。熱烈な阪神ファンたちは優勝決定時には興奮度もピークに達しました。ビデを見た直後の精神状態を測定、そしてコーヒーを飲んで20分後にふたたび測定。すると「コーヒーを飲んだ後」のデータは精神が安定している状態を示しました。この結果は、コーヒーの持つ香りや成分が自律神経のバランスを保とうとするため、コーヒーを飲むと心が落ち着きくつろいだ気分になれることをあらわしています。
【実験協力/京都大学 伏木亨研究室+森谷敏夫助教授】


血液の循環をよくする働きがある
<コーヒーの飲み方>
ワンポイント・アドバイス
●コーヒーは血液の流れをよくする
●代謝を高め、老廃物を排出しやすくする
●自然素材でノンカロリー飲料

目覚まし効果で知られるカフェインは、日常の健康づくりに役立つ働きが他にもいろいろ。たとえば、エネルギー消費と脂肪分解を促進する働きもあるのです。
「ためしてガッテン」実験室ではコーヒーを飲む前と飲んだ後の代謝量を測定。実験の結果では、冷え性の人や日頃運動不足気味の人はコーヒーを飲んだ後の代謝量が増えるというデータが得られました。これは、カフェインには心臓の働きを活発にさせ、血液循環をよくする効果があるため、毛細血管を広げ、血流をよくする働きがあり、全身の体温を上昇させるからです。またコーヒーの毛細血管の拡張作用は、末端の血管まで開かせる働きがあります。その結果、高血圧の人には血圧を下げるように働くのです。「高血圧の人にコーヒーはよくない?」という人もいますが、決してそうではありません。
 古代や中世の人びとは、コーヒーを緑茶と同じように薬として飲んでいたそうです。「悪い部分に作用して普通に戻そうとする」という効用を昔の人びとが日常的な経験から知っていたからかもしれませんね。


【実験協力/共立女子大学 泉谷希光研究室】

コーヒー+「食事」と「運動」
健康で元気な毎日は、バランスが大切
元気の源・コーヒー
穏やかな効き目で、すっきりと目覚めを誘うカフェインは、血流の促進や利尿作用などの働きがあり、珈琲は寒いときには身体を温め、暑いときには暑気あたりを防ぐなど、珈琲には漢方薬にも似たさまざまな健康効果や作用をもつことが知られています。ただし、コーヒーが大好きという人も、体質的に向かない人もあるそうです。昭和大学医学部客員教授の新居裕久先生の研究によると、コーヒーには身体を温め、血圧を上げる働きや利尿作用があることから、コーヒーに向く人は、冷え性や低血圧、むくみのある人だそうです。反対に、あまり飲み過ぎない方がいい人は、胃に潰瘍などの障害がある人、飲むと心臓の鼓動が高まる人、ヘビースモーカーなど。いずれにせよ、大切なことは自分が美味しいと思うコーヒーを、自分にあった量で飲むことでしょうか。何事もほどほどが肝心ですね。
 ●こんな人におすすめ
 冷え性・低血圧・むくみ等の症状がある人
 ●こんな人は控えめに
 胃に潰瘍がある人・飲むと心臓の鼓動が高まる人・ヘビースモーカー
 上手に飲んでダイエット!? 老化も予防
 コーヒーにはエネルギー消費する働きがあります。たとえば、コーヒーを一杯飲むと、2分間程度のジョギングをしたことに相当するエネルギー消費が期待できるとか。もちろん、10杯飲めば20分間のジョギングに相当するかというと、そう単純ではありません。適度な運動とバランスのよい食事が基本ですから、コーヒーは食後や仕事の合間に飲むには最適といえます。特に食後はおすすめで、カフェインが胃液の分泌を促進し、胃腸の調子を整え、さらに脳を刺激して気分も爽快にしてくれます。
 最近、研究者の間で注目されているのは、「老化の予防」と「ガンの抑制作用」。人間の体内にある細胞膜に多く含まれる脂質は酸化しやすく、それが原因となっているのが活性酸素です。この活性酸素は、体内に細菌やウィルスなどの異物が侵入すると攻撃して排除しようとする良い面がありますが、一方で活性酸素が多すぎると細胞膜を酸化させてしまいます。活性酸素が身体のあちこちを攻撃することが、老化やガン発生の原因とも考えられています。人間の身体にある程度は必要で、多すぎるとよくないこの活性酸素を消去する働きがコーヒーにあるといわれています。コーヒーを飲むことで活性酸素の量をバランスよく調整できれば、老化防止やガンの予防にも役立つことが期待されています。
またコーヒーには酸化を抑える効果があり、細胞膜が酸化してできる「過酸化脂質」の抑制にも役立つのでは…と、研究が進められています。
 ちなみに、フランス人の朝食には欠かせない「カフェ・オ・レ」は、絞りたての牛乳は腐敗しやすく、タンパク質が変質してしまうのを防ぐために、牛乳を安全で衛生的にまた飲みやすくするための智恵として生まれたのが、牛乳にコーヒーを入れて飲むという方法だったそうです。「ためしてガッテン」実験室では、牛乳に含まれる活性酸素によって、過酸化脂質の発生する量の違いを、「牛乳」と「コーヒー入り牛乳」で測定。5時間経過後のデータでは、過酸化脂質の量はコーヒー入りに比べてそのままの牛乳はなんと13倍にもなっていたそうです。
おそるべし!!“コーヒーパワー”

<実験協力>日本女子大学食物学科・生物化学研究室 グゥエン・ヴァン・チュエン教授

珈琲Q&A
珈琲Q&Aイギリス国民が紅茶好きになった饗由は?

イギリスの代表的な飲み物といえは紅茶ですが、もともと紅茶を飲んでいたのでしょうか? 17世紀後半からロンドンではコーヒー・ハウスがブームになり、ピーク時には約2000を数えたそうです。コーヒーは、イギリス人に広く普及していました。ところかインドネシア・ジャワでコーヒー栽培に成功したオランダが、18世紀前半からヨーロッパのコーヒー貿易の利権を独占。競争に敗れたイギリスはコーヒーから紅茶に転換して紅茶貿易に力を注いだため、国内のコーヒーの価格が暴縢。コーヒー・ハウスではコーヒーの代わりに紅茶を出すようになったのです。そしてイギリスの紅茶貿易が発展する中、イギリス国民の嗜好は紅茶に傾いていったのです。

農園で、コーヒーの木はどのくらいの期間、収穫に利用きれるのですか?

農園ではまず種から苗木に育てます。半年から1年ほどで苗木は農園に移せるほどに成長し、雨期に移植。コーヒの木が生長し、収穫が望めるようになるのは4~5年が経過してからのこと。なお、コーヒーの木はそのままにすると5mほどに伸びますが、農園では作業がしやすいように剪定し2m程度の樹高に保たれます。15年ほど経過すると、いったん根元から30cm程度のところで幹を切り、脇芽を育て再生させます。こうすることにより約30年間に渡ってコーヒーの実を収穫することができるのです。

缶コーヒーを考え出したのは?いつ、どこで?

缶コーヒーが生まれたのは昭和40年代の日本。それまで既にあったコーヒー牛乳をヒントに缶コーヒーが開発されました。
昭和45年の大阪万博で、評判を呼んで、缶コーヒーは一気に新スタイルのコーヒーとして人々に受け入れられ、規在では無糖タイプ、炭火焙煎といったさまざまな缶コーヒーが登場していることは周知の通り。それでも喫茶店での1杯は、ひと昧違います!

コーヒーに保存料や添加物は含まれているのですか?

レギュラー・コーヒー、インスタント・コーヒーには保存料、着色料、香料などの添加物は一切、含まれていません。レギュラー・コーヒーの原料はコーヒー豆のみ。未開封のパッケーシのままなら1年程度の長期保存が可能で、真空包装、窒素充てん法といった技術によるものです。またインスタント・コーヒーの長期保存が可能なのは、水分を除去しているからです。ただし開封後は酸化が進んだり、空気中の水分などによって風昧が損なわれますので、できる限り早く飲みきりましょう。

新米、新茶があるように、コーヒーにも新豆はあるのですか? その味は?

欧米では「ニュークロップ(新豆)・オンリー」と表示され高級品として扱われていますが、日本国内では新豆という概念はあまり普及していません。日本の場合、収穫・輸出時期の異なったさまざまな国からコーヒー豆を輸入している事業があるのでしょう。風味に関しては新豆と何年間か置いた「オールド・クロップ」と比べると、味・香りともに新豆の方が強く出ます。

ストレートコーヒーとブレンド・コーヒーの違いは?

ストレート・コーヒーとは、モカ・マタリ、キリマンジャロ、ハワイ・コナといった単独の銘柄のコーヒー豆だけを使って抽出したコーヒーを指します。ブレンド・コーヒーは、数種のコーヒー豆を混ぜ合わせて作ったものです。ストレート・コーヒーはそれぞれの豆の特徴を味わえるのに対して、ブレンド・コーヒーは、苦み・酸味・香りなど調和のとれた風味が味わえます。

参考「珈琲あらかると」
全国喫茶飲食生活衛生同業組合連合会 (財)全国生活衛生営業指導センター

古今東西 とっておき エピソード

●コーヒーの普及に貢献した「カフェ・パウリスタ」
 日本では、明治から大正にかけてコーヒーは一般の民衆に徐々に浸透していきました。それに貢献したのが、"ブラジル多民の父"と言われる水野龍という人物です。ブラジル政府からコーヒーを無償で供与されたため、水野が開いた「カフェ・パウリスタ」では、格安でコーヒーを提供したのでした。当時コーヒーは、高級な洋食とセットで供されるのが通例でした。そこでカフェ・パウリスタでは、コーヒーと一緒にドーナツを用意し、庶民が気軽にコーヒーを飲めるようにしたのです。最盛期には全国に20余りの店舗を出店し、コーヒーの普及に努めたのです。「パウリスタ 五銭のコーヒー 今日ものむ」という俳句も残されています。

●コーヒーをモチーフにしたクラシック音楽
 クラシック音楽でコーヒーを主題にしたものはあまり多くないのが実状です。1732年にJ・S・バッハが作曲した『コーヒー・カンタータ」がクラシック音楽でコーヒーを主題に扱った最初の楽曲です。チャイコフスキー作曲のバレー音楽『くるみ割り人形』中の「アラビアの踊り」でもコーヒーが登場します。東洋風のエキゾティックなメロディーにのって、コーヒーの精がべ一ルをなびかせて幻想的に舞うのです。
              
●知らなかった!?フランスのコーヒー事情
 食事の最後にコーヒーが出されるのは、コーヒーに消化の促進効果があるからです。フランス料理のように、バター等の油脂をたくさん使った料理を締めくくるのであれば、深煎りの濃厚な苦いコーヒーが最適で、口の中もスッキリ。ところが、フランスでコーヒーを飲み、"フランスのコーヒーは合わないな…"と感じられた方はいないでしょうか!? 原料の豆にアラビカ種ではなく、ロブスタ種を使用していたために感じた違和感かもしれまん。ロブスタ種は苦みが強く独特の香りを持っています。日本ではブレンド用に使用されることもありますが、そのほとんどは缶コーヒーやインスタントコーヒーなどの加工用に供されています。フランスは、ロブスタ種を生産する旧植民地であった西アフリカ、東南アジアから多くのコーヒーを輸入しているという事情で、ロブスタ種を使用するケースが多いようです。

参考「珈琲あらかると」
全国喫茶飲食生活衛生同業組合連合会 (財)全国生活衛生営業指導センター